在学生の方
フィンランド アールト大学での留学生活 2015-2016
留学先:アールト大学
留学期間:2015年9月〜2016年8月
留学開始時の所属・学年:大学院デザインストラテジー専攻 ストラテジックアーキテクト講座 修士課程2年
アールト大学には自分よりはるかにデキる人、経験豊富な人、なんでもできる人たちとの衝撃的な出会いがあります。社会人学生、妊婦さん学生、定年後のおばあちゃん学生等、学生たちは多様性にあふれています。さらに授業では、頻繁に他学部や企業とコラボします。授業形式は座学よりプロジェクト重視で、実際に作る、町で実践する、ということが珍しくありません。
授業への取り組み方も違います。まず全てにおいて民主的で、授業の進め方について教授と議論を交わすことは日常です。次に、「できる範囲のベストを尽くせばよい」という考え方を持っており、個人を尊重します。わたしのグループにいた学生は乳児の父親でもありました。そのためほとんど作業に参加できませんでしたが、他のメンバーと同じ仕事量を求められることはありませんでした。彼は彼のベストを尽くし、無事、プロジェクトは成功しました。
授業だけではありません。フィンランドは町のいたるところにデザインが行き届いており、町を歩くだけでも学びがあります。フィンランドのデザインはシンプルで使いやすく、好感がもてました。市民全体で、デザインの価値が共有できているのかもしれません。
生活のことも少し述べておきます。フィンランドの人々は自然をとても愛しています。ハイキング、ベリーやキノコ摘み、焚き火、サウナ、川遊び、これが特別なイベントではなく日常にあります。また、住んではじめて、福祉大国と称されるだけの、人々の思考の違いに気づかされます。働けない人(働かない人も)の生活保障、出産前後〜育児まで一貫したサポート、無償の教育…その根幹にあるのは、フィンランドの人々がもつ「幸福のシェア」という考え方だと思います。そして、「全員に同じ量」では無意味なことを知っていて、足りないところに足りない分を補充することこそ「平等」という認識があるのだと思います。
めまぐるしく変化する世の中です。今のフィンランドを見ておくことをぜひお勧めします。
丸尾 響子(まるお きょうこ)

1年間最後の学生主催「作品展示会」。学生の一人が作った作品で遊んでいるところ。顔を認識して、勝手にラクガキされます。

お疲れ様パーティーの様子。校内でスナック持ち寄りで開催。スペイン人の男の子がベリーケーキを焼いてくれました!

九州大学のメンバーのお別れ会。前から2列目、右から3番目が筆者