九州大学へ留学したい方

芸工で築く友情の架け橋 #4 歩を踏み出してみたら、ほらできた!

芸工で築く友情の架け橋シリーズでは、留学生と日本人学生との友情関係についてインタビューしています。今回はキャンパスで運命的に出会い、一緒に芸工を盛り上げるためのクリエイティブワークを行なうパートナーとして絆を深めてきた2人にインタビューを行ないました。今回紹介するお二人の友情は、他の学部にはない、デザインを専門とする芸工だからこそ生まれた友情ではないかと思います。必見です!

インタビュイー:
Aaron Browning: 九州大学大学院芸術工学府環境設計コース 修士1年

松中 光(まつなかひかる): 九州大学芸術工学部インダストリアルデザインコース4年 

インタビュアー:
長谷川 愛: 九州大学大学院芸術工学府人間生活デザインコース 修士1年

まず二人はどうやって知り合ったんですか?
アーロン:大橋キャンパス6号館でひかる君が「フリーコーヒー」というイベントをしていたんだ。僕はコロナ禍でキャンパス内での人と人との距離が希薄になっていることを感じて何かできないかなと自分で模索しているところだった。そのときにひかる君の「フリーコーヒー」を見かけて、こんなイベントをやっている人だったら気が合いそうだと思った。中に入って、いろいろな話しをしてみて、やっぱり気が合った。

「フリーコーヒー」とは?
ひかる:無料でコーヒーとかお菓子を配るというイベントです。もともと、井尻寮で先輩が、寮生と地域の人との交流を深めることをテーマにフリーコーヒーをやってるところを見かけたんです。それを見て、僕はキャンパスでも同じようなことできるんじゃないかと思って。

所属している研究室の学生部屋がたまたま外に面していて、ここを拠点にできるんじゃないかなと思ってやってみました。

2人が初めて出会った場所 ”Free Coffee“

なるほど、そこで2人が出会ったんですね。
ひかる:初日にアーロンさんが来てくれて、僕としてはふらっと始めたイベントだったけど、まさかアーロンさんとの良い出会いがあるとは。そのときには僕は英語を積極的にしゃべろうという気はなかったから、アーロンさんが日本語ぺらぺらでありがたかった。そのときにアーロンさんの屋台プロジェクトの計画とかお話ししましたね。

その屋台プロジェクトが2人が行なったこのあいだのイベントと関わってくるんですね。出会ってからすぐそのイベントやることになったのですか。
ひかる:僕が開いたフリーコーヒーで出会ってから、実はしばらく連絡とってなかったんです。だけど、あるイベントで僕がアーロンさんを見つけて、話しかけて、そこからやりとりが再開したんです。僕らは趣味が合うんです。音楽とかコーヒーですね。

音楽とコーヒーという共通の趣味は2人が仲良くなる上で大きなポイントだったようですね。
アーロン:そうです。でも趣味が合うというだけじゃなくて、趣味のコーヒーと音楽を、人と人をつなぐ手段にしたいというセンスが同じだったんです。そういう話をして僕はひかる君のことが好きになった。

相思相愛でいいですね。じゃあ再会してから、ミーティングを重ねてイベントに至ったのかな?
ひかる:そうですね、話しを詰めるために、学食でミーティングしたり、アーロンさんが所属しているENTalkというサークルのたこやきパーティに呼んでもらったりしましたね。僕は、それまでは留学生と関わるというと、同じ井尻寮の人と軽くしゃべる感じだったんですけど、そのたこやきパーティでENTalkの日本人学生2人が留学生と流暢に英語で話してるのを見て、悔しい思いをしたんです。そのことが、もっと留学生としゃべりたいと思うきっかけとなりました。先日フィンランドの大学に行く授業(英語で行なわれる)に参加したんですが、このときの悔しさが、その授業を受ける後押しにもなりました。

アーロン:ひかる君がENTalkのイベントに参加してくれてうれしかったな。

ではいよいよ2人がやったイベントについて聞いていいでしょうか。
アーロン:ぼくがもともと考えていたプロジェクトが「屋台プロジェクト」なのですが、このプロジェクトは、人と人との距離が希薄になっていることを感じて何かできないかなと自分で模索して、思いついたプロジェクトです。イベントが簡単に人に見えるなら人が来る、ならば屋外のイベントを提供しようと考えました。屋台プロジェクトに関連して、行なったのが僕とひかる君の「Ijiri brend」です。井尻寮が日本の学部生と留学生の接点になっていることに注目して、そこでコミュニケーションする場をつくれたらなって思って。僕たちが大好きなコーヒーと音楽を媒介にした場の提供を企画しました。井尻寮内で日本人と留学生が交わるという意味でのブレンドとコーヒー豆のブレンドとをかけたネーミングです。

ひかる:僕ら2人がお互いにDJをしました。アーロンさん優しいからコーヒーの係をたくさんやってくれて、僕はたくさんDJの時間を持たせてもらいました。

アーロン:コーヒーミル回すのが楽しかったからね。結構たくさんの人が参加してくれたね。日本人と留学生どっちも、半分半分くらい来てくれた。

“IJIRI BLEND”のフライヤー
イベントに向け準備をしている アーロン
イベントに集う留学生と日本人学生

じゃあ企画は成功したのですね。
アーロン:そうですね。成功したと言える。でも本来、計画して行なうことそれ自体が大切だと思ってます。そういえば、まだ反省会してないんですよね。久しぶりにひかる君と話して、またよりよい企画につなげたいな。

次の企画があるのですか。
アーロン:屋台プロジェクトは今度の学祭でも、その後も定期的に大橋キャンパスで行ないたいと思ってます。理想は屋台をたててコーヒーと音楽を提供したい。だから来週から工作工房で頑張らないと。

お二人の仲の良さが十分伝わってきましたが、改めて、お互いにどんな存在でしょうか。
アーロン:ひかる君はお名前と同じように明るい人で、人との出会いとても大事にしてる人だと思う。音楽とかイベントを通して人と人をつなぐのを大事にしてる人で、小規模だけじゃなく社会規模でもそうゆうことをやっていくことに興味がある人だと思います。音楽の趣味がたまたま合うし、性格・価値観もすごく合う大事な人です。

ひかる:僕は単純にアーロンさんはすごいなと思ってます。日本人と留学生の交流を深めたいというモチベーションを持っていて。なかなかそんなモチベーションを持ち続けることってできないと思う。しかも、机上の空論で終わらせない人だと思います。ちゃんと作るっていうところまで持っていく姿勢がすごい。リスペクトしてます。

アーロン:こちらこそリスペクトしてます。ひかる君が就職して離れてしまうから、近くにいるうちにもっと一緒に話したい。ひかる君が卒業する前に、時間が合えば一緒にいろいろやりたい。

ひかる:今度の金曜日、井尻寮でやるイベントがあって、一緒にDJしましょう。屋台プロジェクトとか広める機会になるかも。

そういえば、2人は異なる国の出身ですが、コラボレーションするときに何か困難はありましたか。
アーロン:国の違いというのはなかったけど、僕は社会人として働いたことがあって30代なので、ひかる君とは年齢が離れているんです。僕は、ひかる君のような若い人のサポートしたいという気持ちがあるんです。なんかアイデアがあったらそれを実現するために支援するサポート、イベントやりたい人の助けになりたいという気持ちがありました。

ひかる:そうなんだ。年齢今はじめて知ったかも。あんま意識してなかったです。たしかに、いろいろひっぱってくれるのでリーダーだなというイメージはあった。

僕としても国の違いとかあんま感じなかったです。留学生とどっか行くとき、大抵みんな遅れてくるんですけど、アーロンさんはそうじゃなくて日本の文化に近いなと思ってます。アーロンさんの性格もあるかもですけど、僕が留学生に抱くイメージとちがった。

それでは最後に言っておきたいことはありますか。
アーロン:いいイベントするから、次回に期待して下さい。前回よりいいベントにしたいな。

みんなにコーヒーごちそうさせてください!

ひかる:僕の勝手な想像かもしれませんが、留学生は言語の問題があって日本人に話しかけづらいと思っていて、一方日本人も留学生に話しかけづらいと思っている現状があるんじゃないかと思うんです。日本人はしゃべるのがはずかしいとか、まちがったらどうしようとかで、しゃべりたいけどしゃべれない。僕もその1人でした。留学生も日本人も、「こんにちは」ぐらい勇気持ってお互いしゃべれるともっとみんなハッピーになりそうですよね!

アーロン:ぼくたちはコーヒーと音楽が好き。みんなが好きなコーヒーや音楽、その好きなモノの先に、日本人と留学生どっちも偶然いた、みんなが楽しいと感じられる、気づいたら交流してた、それがいいですね。今は屋台イベントで使用する屋台を新しく入学した留学生数名と一緒につくれたらいいなと思ってます。これも人と人とがコミュニケーションするきっかけになる、一緒につくればこそ大事なものができると思います。

今回インタビューをしてみて、私自身も芸工生としてとてもワクワクしました。国籍や年齢、バックグラウンドにかかわらず、様々な人たちが、普段自分が社会に対して抱いている問題意識や世の中がこんな風になったらいいなという価値観や情熱を共有し、協働してアイデアを形にしてアウトプットできるのは、デザインを学べて、創造できる環境がある芸工ならではの特権だと思います。これから芸工に留学する人も、今いる留学生も、さらには日本人学生も、キャンパスで気になる活動をしている人に対して、勇気を出して一歩踏み出し声をかけてみるのもいいですね。そうするだけで、ほら、たちまち一生の友人のできあがり!かもしれません。松中君が言うように、「こんにちは」だけでも試してみてはいかがでしょう!

———————–

<執筆者>

長谷川愛
芸術工学府人間生活デザインコース 修士2年

私は外国の文化にとても興味があります。なかでも中国文化が大好きです。芸工で留学生と友達になると、自分の視野が広がるのでわくわくします。芸工は、自分のクリエイティビティを高められるだけでなく、国際的な視野を広げられる場所でもあります。留学生も日本人学生も、芸工の国際性を活用しましょう!