在学生の方

フィンランド ヘルシンキでの留学生活 2018-19

留学先:フィンランド アールト大学
留学期間:2018年8月〜2019年7月
留学開始時の所属・学年:大学院芸術工学府 デザインストラテジー専攻 ストラテジックアーキテクチャコース 1年

留学の感想
①成果
日本と北欧においてのデザイナーの役割の違いを身を以て感じることができた。日本では課題解決の専門家として扱われるが、デザインの民主化が進んだ北欧ではそれぞれの人々に解を見つけさせるファシリテーター的な振る舞いをする。私が参加したプロジェクトの中では、「やるべきこと」と同時に「やるべきではないこと」が問われ、例えば、高齢者施設を作る際に、図書館や運動施設など、全てを与えることで、生活が全てその中で完結してしまわないように、地域や他者とのつながりの中で捉え、作るべきではないものを考えるということである。人間中心設計が唱えられて以降の「人のために」というデザインが、その対象の自立性を奪ってしまうという側面に多く触れた。そうした観点から、日本の産業における作り手と生活者の関係を俯瞰すると、デザイナーとして「作り与える」のではなく、生活者がサービスや製品に依存しすぎず、人々が自立共生に生きるための教育や環境づくりに志向が変化した。こうした自らの行為や思考に対する根本的な問いに多く触れられることが留学の意義であるように思う。

②課題
プロジェクトに慣れてくると、頑張らなくても乗り切る能力が身についてきてしまいました。わかってなくても、とりあえずOKみたいなことをやっている時期が留学の中間期にあったので、自分のモチベーションコントロールは重要だったなと思います。あとは、フィンランドの冬は日照時間が短いので、外に出るきっかけを作っていかないと、鬱っぽくなったりするので、それもセルフコントロールが重要だったなと思います。

これから留学する学生へのアドバイス
多くの根本的な問いに触れることができる貴重な機会だと思うので、”わからなくなる”ことを楽しめるようなマインドが持てると有意義な時間になるのではないかと思います。

留学先での生活全般に関することで、困った点や改善してほしかった点、またそれに対する改善案
引っ越してきてすぐは、交通定期や携帯キャリアなどでトラブルがたくさんあったので、その辺については、友人からの情報をいかに得られるかが大事だったように思います。

藤 匠汰朗