在学生の方

ドイツ・ダルムシュタットの学生生活2015-16

ダルムシュタット科学技術大学での留学体験について、あくまで私の体験や主観を元に紹介させていただきます。参考にできる部分が少しでもあれば幸いです。

留学期間:1年間 (2015年9月~2016年7月)
留学時の所属・学年:大学院芸術工学府 芸術工学専攻 修士1年 コンテンツクリエーティブコース

大学を選んだ理由
そもそも留学を思い立った理由は、将来海外で働きたいという夢があったにも関わらず、一度も自分の目で海外をみて、生活するという経験がなかったからです。その留学先としてダルムシュタット科学技術大学を選んだのは、他の留学先の候補と比べた場合に、サービスやビジネスのデザインではなく、よりカタチを持った製品のデザインを日本と異なる環境で、勉強できると考えたからです。もちろん、ソフトのデザインもできますが、それだけではなくハードのデザインをしっかり学べるカリキュラムがあるのがこの大学の特徴の一つだと思います。

留学中になにができるか
留学することの意味を考えている方も多いと思いますが、留学中にできることは授業を受けることだけではありません。とにかく、いろんなものを「みる」ことができます。それは、世界最大規模のモーターショーを始め、欧州でしか訪れることのできない様々な展示会、博物館、美術館においてであったり、リーズナブルな価格でアクセスも非常に簡単な他の国々を旅行中、その文化に触れたときであったり、普段の生活において人々の生活と交わったときなど様々な機会があります。留学によって劇的に自分が成長するということはないかもしれません。しかし、留学中にみて、感じたことは、これからあなたがデザインを行う上で、視野や考え方が変わったり広がったりするには十分なきっかけになると思います。また、ここで出会う世界中から集まった留学生の友人たちも、あなたに貴重な刺激を与えてくれます。この出会いはきっとかけがえのない人生の資産になると思います。留学をするかしないか迷っている方がいたら、間違いなく留学をすることをお勧めします。

授業について
デザインに関する授業ですが、私は主にインダストリアルデザイン学科の授業を受講しました。ダルムシュタット科学技術大学のデザイン学部にはコミュニケーションデザイン(グラフィックデザイン)の学科も存在し、両方の授業が受講可能です。全ての授業はドイツ語で行われるため、語学力の問題上、実用的な授業しか受講しませんでした。私は一学期中に、学部の卒業研究のようなボリュームのプロジェクト授業を一つとCAD関係のソフトウェアの授業をいくつか、写真撮影の授業を受講しました。プロジェクト形式の授業は、毎週教授に自分の考えを見せながら進める形式です。最終提案は実寸模型とポスター、ポートフォリオを作成し、展示会形式の会場で英語でプレゼンを行いました。この大学では最終発表に向けて模型をつくることが多くの授業で義務づけられており、ドイツ人の学生は非常に模型づくりに長けています。芸工にある工房のような場所も存在し、環境も充実していますし、模型づくりに関して指導してくださる先生がいらっしゃいます。

デザインの授業以外にも言語の授業を受けることが可能です。留学プログラムとして授業が始まるまでの一ヶ月にドイツ語の授業を受講し、学期が始まってからも継続して受講しました。他にも英語の授業や体育の授業などもあります。言語の授業において試験に合格するとドイツ語検定のようその授業のレベルに合わせた資格のようなものがもらえます。

留学前にすること
私は留学前に語学の勉強をしておくことをお勧めします。ここは非常に私が後悔している点でもあります。英語はもちろんのことですが、できればドイツ語もある程度話せるほうがより、実りある留学生活になると思います。もちろん、留学によって英語力を高めようという人もいるかもしれませんが、最初からある程度のレベルに達している方がより留学生活を楽しめます(他国からの留学生は皆自分より流暢に英語がしゃべれると思ってください)。また、ダルムシュタット科学技術大学の場合、授業は全てドイツ語です。周りの友人も常にドイツ語で議論をしています。それをリアルタイムで理解できないのは非常にもったいないと思いました。デザインに関しても、その国ならではの語彙や表現があります。それを吸収するためにもドイツ語を勉強していくと、なお実りある勉強ができると思います。

生活に関する情報
ダルムシュタット科学技術大学はフランクフルトに非常に近いダルムシュタットという街にあります。ドイツの中では小さい街です。非常に小さい分、様々なものが手に入りやすくもあります。生活費は月に600ユーロあれば十分だと思います。住居は留学期間と同じ期間学生寮に住むことができます。様々な国の人が学生寮にはいますが、大きなトラブルはありませんし、同じ大学に通う留学生もいますので、人間関係も充実しています。この大学ではオリエンテーションプログラムといって、学校主催の歓迎イベントがいくつかあるので、それに参加すればすぐにたくさんの友人ができます。食生活に関しては、基本的には自炊をしていますが、レストラン等で外食も可能です。ドイツは移民の受け入れに肯定的なので、街中は多国籍の人で溢れ、それにともなって様々な国のレストランがあります。アジアンマーケットでは日本の食材も購入することができます。ダルムシュタットの治安は基本的には良好で、危険を感じることはありませんが、フランクフルトなどの大きな街にいくと治安が悪いところもあるので注意が必要です。

三舛悦人

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